犬は安産、フレンチブルドッグは難産

安産 犬と暮らしてわかったこと




妊娠中の友達が産婦人科の帰りに遊びに来ました。
「今日は戌の日だったの」
そう言うと彼女はいきなり服を捲し上げました。

現われたお腹にはさらしが巻かれていて、大きな朱文字で「寿」と書かれてあります。
私は思わず「おおー」と感嘆の声を上げ、なんだか縁起がいいので知らず知らずお腹に向かって手を合わせていました。

膨らんだ妊婦のお腹とさらしに書かれた達筆な文字が、とても神々しく感じたのでした。

帯祝い

妊娠5カ月目の「戌(いぬ)の日」にお腹に腹帯を巻いて安産を願う儀式で、日本独自の風習です。

腹帯は「はらおび」または「ふくたい」と読み、妊婦のお腹を冷えから守る、お腹を固定して姿勢を正常に保つ、胎児を守る、といった効果があるようです。

今はさらしだけでなく妊婦帯とかマタニティベルトといった名前の商品が販売されています。
こちらは儀式のためではなく実用性を重視した製品ですね。

 

なぜ戌の日なのかというと、犬はお産が軽くたくさんの赤ちゃんを産むので、昔から安産の象徴とされているからです。

これまで無事に育ったことへの喜びとその後の無事な分娩をお祈りする行事として、一部の産婦人科では帯祝いを行っているのです。

本当に犬は安産なのか?

先ほども書きましたが犬は安産の象徴です。
はたして本当に安産なのでしょうか?

ここで私の体験談をひとつ。
子供の頃、実家で飼っていた柴犬(名前はアイです)の出産に立ち会ったことがあります。
正確には傍で見学していただけですが。

毛布を敷いた囲いの中で、プリッ、プリッと赤ちゃんを一匹ずつ、静かにそしてゆっくりと産んでいたのを今でも覚えています。
赤ちゃんは膜に包まれて生まれてくるのでアイが歯で膜を破り赤ちゃんの顔をなめていました。
その膜は確かアイが食べていたと思います。
一匹産まれたら次の子を、そして次の子といった具合で、それはまるでおごそかなセレモニーのようでした。

時折苦しそうに見えることもありましたが、アイ自身が落ち着いていたので、私もそれほど緊張することなく見守っていられました。

アイは一回に3~4匹、生涯で計4回の出産をしました。
そして全てが自然分娩で全てが安産でした。

このように犬は本質的に安産です。
ただし、命がけの出産もあります。
胎児の向きや場所が悪かったり、赤ちゃんの数が多いと途中で母犬が弱ってしまうこともあるのです。

柴犬 子供

フレンチブルドッグは難産?

結論から言ってしまうと、フレンチブルドッグは難産です。

フレンチブルドッグは基本的に帝王切開で赤ちゃんを産みます。

その理由は、母犬の産道に比べて赤ちゃんの頭が大きくうまく骨盤を通過することができないためです。
もちろん自然分娩で生まれる場合もありますが、長時間の苦痛で母犬が参ってしまったり、赤ちゃんの体力が持たなかったりで、リスクは高いようです。

少しでも不安があるのなら、自宅での分娩は避け最初から病院で出産をするべきです。
当然それなりの費用がかかるので、そちらの覚悟もしておきましょう。

こうした出産事情がフレンチブルドッグの値段が高い理由のひとつと言われています。
商売目的で何度も出産をさせられ、お腹がボロボロの子もいるとか。
心が痛みますね。

フレンチブルドッグの他にもチワワやポメラニアン、パグなどの短頭種や小型犬は難産傾向にあります。

おわりに

まだあどけなさの残る柴犬アイ。
地面につきそうなほどパンパンに膨れたお腹をかかえ、散歩中は無邪気にバッタとじゃれています。

こんなんで本当に赤ちゃんが産めるのか?
ちゃんと子供を育てられるのか?

そんな不安が頭をよぎりましたが、まったくの取り越し苦労でした。
アイは無事出産をして、赤ちゃんを産んだあとも母親としての役割を立派にこなしていました。
誰に教わったわけでもないのに。

幼さと母性の同居。
今思うとなんだか不思議な感じがします。